梅雨の季節から夏にかけて怖いのが、様々な菌が原因で起こる食中毒です。特に夏は食品が傷みやすく、繁殖した細菌が体内に入って具合が悪くなることも。
一方でノロウイルスが原因で起こる食中毒も、感染力など強く注意したいですね。
ところで、「細菌」と「ウイルス」とは、名前が違うだけで同じようなものなのでしょうか。
感染した時の対処法なども含めて、細菌とウイルスの違いについてまとめました。
細菌とウイルスの違いについて
細菌とは
細菌は正式には「真性細菌」といい、分類上は単細胞生物という扱いとなります。餌となるものを自力で吸収して不要物を出し、分裂して繁殖します。その点は確かに生物ですね。
大きさは1µm(マイクロメートル)前後で、人間の細胞の1/10程度。ちなみに1000µmで1mmとなり、顕微鏡でないと見えないほどの小ささです。
細菌には様々な場所で生息し、その中には私達の体内も含まれます。有名なものですと「大腸菌」や「乳酸菌」が、体内で生息している細菌ですね。
これらの細菌のなかには、人間にとって有益なものがある一方で害となるものも。害となる細菌が排出したのが毒となり、体調不良の原因となるのです。
ウイルスとは?
ウイルスは遺伝情報のDNAとRNA、それらを覆う外殻という単純な構造で出来た存在。生物が持つ「細胞」を持たないため、非生物という扱いとなります。
その大きさは10nm(ナノメートル)から100nmと、細菌よりも更に小さい存在。ちなみに1000nmで1µmとなり、電子顕微鏡を使わないと見ることが不可能です。
構造が非常に単純なウイルスは、生き物の細胞に寄生することで増殖します。そのため増殖された生物は対抗しようとした結果、熱が出たり下痢や嘔吐の症状が。これが「ウイルスによる体調不良」となり、病気となってしまう仕組みなんです。
最近とウィルスを比較してみると…
細菌とウイルスの違いについて、簡単に比較してみましょう。
細菌 | ウイルス | |
---|---|---|
大きさ | 1µm前後 | 10〜100nm |
分類上 | 単細胞生物 | 非生物 |
生息地 | 様々な場所 | 生物の体内 |
増える方法 | 主に分裂 | 生物の細胞に寄生して増殖 |
この中で大きさですが、聞きなれない単位なのでピンとこないかもしれません。例えるならばウイスルが直径1センチの飴玉で、細菌は直径10m以上のガスタンク。細菌は小さいのですが、それ以上にウイスルが小さいのです。
そして細菌とウイルスの最大の違いは、
- 細菌の中には、体内で役立つ菌もある
- ウイスルは体内に入ると、害にしかならない
…という点。
病気になるという点ではどちらも許せませんが、役立つ菌がいる分、まだ細菌の方がマシですね。
細菌・ウイルス性の病気にかかった場合はどうする?
細菌には抗生物質
細菌が原因で具合が悪くなった時は、抗生物質の薬が渡されます。抗生物質は細菌の細胞を攻撃する作用を持ち、細胞を破壊することで細菌を死滅させる効果が。
害となる細菌をある程度減らした後は、ゆっくり休んで体調の回復を待ちます。
抗生物質は強力な一方で、使い過ぎると細菌に耐性ができてしまう欠点も。必ず医師の指示に従った分量を守り、余った薬を別の機会に飲むようなことは避けましょう。
ウイルスに対抗する薬は…
ウイルスに感染した場合、抗生物質を飲んでも体調は良くなりません。なぜならウイルスには細胞がないため、細胞を壊して死滅を狙う抗生物質は向いていないのです。
更にウイルスに直接効果を発揮する薬は少なく、特定のウイルスにしか効果のないものがほとんど。そのためウイルス性の病気の場合、ウイルスが原因で起こる諸症状を緩和する薬が渡されます。
ウイルスに対抗するワクチン
ウイルスに有効な薬は少ないのですが、感染しないためのワクチンが存在します。
ワクチンとは、感染力を弱めたウイルスから作られ、接種することで「感染した」状態を作るもの。おたふく風邪や風疹の予防接種を、子供の頃に受けた覚えはありませんか?この時注射されたのがワクチンで、これによって苦しい病気にならなくて済むんですよ。
ちなみにインフルエンザは、その年によって有効なワクチンが変わります。というのも、インフルエンザにはいくつかの型がある上、すぐに変化してワクチンが効きにくくなるためです。だから一度摂取したら、一生インフルエンザに掛からない…とはならないのです。
似ているようでかなり違う
どちらも体調不良や病気の原因となる細菌とウイルスは、同じようなものと思われがち。しかしそれぞれ違う存在ですし、感染した場合の対処法も違ってきます。
悪い菌もあれば良い菌もあり、感染した場合は抗生物質が効く細菌。
悪いものばかりで抗生物質も効果がないが、予防できるワクチンがあるウイルス。
出来れば感染したくありませんが、万が一の時は違いを理解したいですね。
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