「塩梅」の意味や読み方と語源について。適切な使い方は?

読んでいる本の中にたまに「よい塩梅に・・」というふうに出てくる「塩梅」という言葉。

「あんばい」と読んで「良い具合に」という意味合いで正しいと思うけど、どうして「塩」と「梅」で良い具合なのかよく分からない、と疑問ではありませんか?

また、携帯やPCで「あんばい」と打つと出てくる「按排」「按配」「案配」との違いもややこしいですよね。

そんな気になる「塩梅」の意味や読み方、語源についてまとめてみました。

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塩梅の意味は?読み方は?

塩梅は現在では「あんばい」と読み、物事の具合をあらわす言葉です。

物事の具合とは、具体的には

  • 料理の味加減
  • からだの具合
  • もろもろの物や事柄の調子・具合・加減

を指しています。

塩梅の語源は?

味加減の良いものが塩梅

塩梅は、もともと「えんばい」と読まれていました。

食酢がまだなかった時代、人々は梅を漬けた際に出来る梅酢と塩を使って料理の味付けをしていたと言われています。

そして、その味加減の良いものを「塩梅」と呼ぶようになったとか。

按排はもともと「あんばい」

按排は、最初から「あんばい」と読まれ、上手く処置する・具合よく並べるといった意味でした。

ですが、「塩梅」「按排」が「良い具合にする」という意味で似ていたため、中世に混同が起きて、塩梅も「あんばい」と呼ぶようになったとのこと。

また、もろもろの具合のうち、身体の具合をも「塩梅」が意味するようになったのは近世以降ということです。

塩梅の別表記が「按配」、按排の別表記が「案配」ですので、この四つの言葉が非常に区別しづらく似ている認識を持たれやすいのです。

雅楽に由来する言葉では

「塩梅」の奏法による篳篥の演奏です

現在、日常生活では「あんばい」と読む塩梅ですが、雅楽での読みは言葉が出来た時代のままの「えんばい」です。

篳篥(ひちりき)の奏法の呼び名で、同じ孔の音に、吹く呼気の量や唇の位置を加減することで音程に幅(高低やスラー)を持たせる方法です。

古の日本から続く雅楽の世界では、奏法の呼び名も現代まで変わらず続いているのですね。

ちなみに、歴史ある雅楽に由来する言葉は「塩梅」以外にも沢山あります。例えば、

  • 打ち止め
  • 音頭
  • 呂律が回らない
  • 楽屋
  • 調子を合わせる
  • 申し合わせ
  • 頭取
  • とちる
  • やたら

・・・など。

打ち止めや音頭あたりは言われてみれば納得ですが、とちる・やたらなどといった言葉も雅楽に由来しているとは意外ですね。

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塩梅の使い方

それでは、日常生活での「塩梅」の使い方の一例を見てみましょう。

料理の味付けの具合

「塩加減、これぐらいでどう?」
「うん、いい塩梅だね。」

・・・「塩梅」の言葉ができた当時の使い方に一番近い使われ方ですね。

身体の具合

「風邪はもう良くなったの?」
「だいぶいい塩梅だよ。」

・・・「体の具合が良いよ。」という意味での使われ方です。

仕事の進捗

「仕事の塩梅はどう?」
「ぼちぼちかな。」

・・・仕事の進み具合などの状況をあらわしています。

銭湯で・・・

「いい湯加減だね。」
「うん、いい塩梅だ。」

・・・お年寄りの会話や落語で使われるイメージもあります。

梅酢と塩のちょうどよい加減の味付けでしたが・・

言葉は時代と共に、読み方や意味合いを変えて人々に使われます。

「塩梅」も、もともとは梅酢と塩の味加減を指していましたが、現在では物事の具合や調子を表す言葉として使われています。

現在使われている様々な言葉も、何十年、何百年後には全く別の意味で使われる可能性もあるのですよね。

また、現在使われている意味での「塩梅」も、もっぱら文章中、会話としては年齢層の高い方が使う事が多く、若い年齢層の方はあまり会話の中では使わないような印象があります。

「塩梅」は今後どのような使われ方をしていくのでしょうか。

ふだん何気なく使っている言葉の語源を調べてみると、人々の生活の移り変わりについて考えさせられ、新たな発見ができて楽しいですね。

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雑学

 

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