肉じゃがや魚の煮付けなど、私たち日本人をほっこりとした気分にさせてくれる和食。そんな和食を作るときに欠かせない調味料として「みりん」と「料理酒」があります。
普段レシピを見ながら何気なく毎日使ってはいるけど、この2つは一体どういう違いがあるのでしょう。料理の中でどんな役割をしてくれているのか気になりませんか?
また、ついうっかり買い忘れてしまった時に代用できるものはないのでしょうか。みりんは甘いから砂糖でいい?料理酒はアルコールだからワインでいい?実はこれ、間違ってます。
今回は「みりん」と「料理酒」の違いについて、また買い忘れてしまった時の代用法も調べてみました。
この2つの役割を知っておくと和食がもっと美味しく作れるようになりますよ!ぜひ見ておきましょうね。
みりんの成分と役割
みりんはよく料理の「照り」や、「コク」を出したい時に使いますよね。
和食を作るときに重要なみりんの原料は何か、また料理でどんな役割をしてくれているのかを見てみましょう。
みりんとはどんなもの?
まずはみりんの材料から見てみると、
- もち米
- 米こうじ
- 醸造酒
- 糖類
になりますね。
一般的に使用されている「本みりん」にはアルコール分が10%~13%くらい含まれているので、販売店ではお酒として取り扱われています。酒類の取り扱いがないお店やスーパーでは「みりん風調味料」というものが売られていて、これはアルコール分が1%未満の調味料として扱われています。
また、みりんには糖分が含まれているのですが、砂糖の甘さとは種類が違います。砂糖はショ糖と呼ばれる糖分から出来ていますが、みりんは9種類以上の発酵した糖分から出来ているのです。
みりんの料理の中での役割
根菜やお肉を煮る時、焼くときに「みりん」はどのような役割をしているでしょうか。
実は料理の先に入れた時と、あとに入れた時とで役割が違ってきます。
みりんを調理前から加えると、
- 肉や魚の気になる臭みを取り除いてくれます
- 素材本来のコクや旨味を出してくれます
- 煮崩れを防いでくれます
では、調理の最後でみりんを加えると、
- みりんの糖分が料理を覆ってさらに煮崩れしにくくなります
- いろいろな調味料でぼやけていた味を引き締めてくれます
- 料理に照りを出すことができます
みりんには煮崩れを防止してくれる働きがあったのですね。さらに臭みを飛ばすには、アルコールが効果的です。煮物には「本みりん」を使いましょう。
みりんの働きを際立たせる使い方
砂糖だけを使っても甘みが際立ってしまい、みりんだけでも味がハッキリとしないので、料理には砂糖とみりんの両方を使うのがポイントです。
砂糖とみりんの両方を使うことで、優しい甘みが引き立つということを覚えておきましょう。この時、みりんは料理の味を引き締める働きがあるので、必ず「砂糖のあと」にみりんと入れましょうね。
また麵つゆを作る時など非加熱で使いたい時は、みりんだけお鍋で軽く火を通してから使いましょう。火を通す作業が面倒な時は「みりん風調味料」を使うと便利です。
みりんの働きが一番際立つ料理は「煮魚」です。魚の臭みを取りつつ、身が崩れないように守りながら美味しそうな照りを出してくれます。上手に使って美味しい煮魚を作ってくださいね。
※次にご紹介しています2つの動画では、本格的な味噌煮の作り方を、ゆっくり説明してくれているのでわかりやすいですよ。
□あけみママの簡単レシピ サバ味噌煮
みりんが無いときの代用法
これらのみりんの成分や働きを知っておくと、代用できるものがなんとなくわかってきませんか?「アルコール」と「糖分」さえ押さえておけばみりんの代用が出来るのです。
日本酒 + 砂糖
これが一番代用しやすい組み合わせですね。みりん大さじ1なら日本酒大さじ1と砂糖小さじ1を混ぜるだけです。
日本酒 + はちみつ
はちみつでも十分代用できます。砂糖に比べると、甘みが優しいので砂糖の代用品として使っている料理家も多いです。
日本酒大さじ1とはちみつ小さじ2/3くらいでみりんの大さじ1に代用できます。照りだしで使いたい時は、砂糖ではなくはちみつを使うとうまく出来ますよ。
みりんは調理の最初に加える時と、調理の最後で加える時によって役割が違うので、うまく活用してくださいね。
料理酒の成分と役割
料理酒には風味がないので、料理で使う必要性がイマイチわからない方も多いのではないでしょうか。実はちゃんと料理の役に立ってくれているんですよ!まずは成分から知っておきましょう。
料理酒ってどんなもの?
料理酒はその名の通り「酒」から出来でいます。でも清酒(日本酒)とはどこが違うのかご存知ですか?
清酒は米と麹から出来ていますよね。
これらの原料に、
- 食塩や甘味料などの旨味が加えられたものが「発酵調味料」という料理酒。
- 加えられていないものを「酒類調味料」
といいます。
清酒は風味がまるやかに磨かれていて美味しいのですが、酒類調味料は雑味が残っているので飲んでも美味しくないのが特徴です。
料理酒の役割
調味料を入れる時の順番「さしすせそ」には登場しない料理酒は、本当に料理に必要なのでしょうか。その役割を調べてみると、入れるタイミングがわかってきますよ。
料理酒は料理の中でこんな働きをしてくれています。
- 魚や肉などの臭みを消してくれる
- 旨味を増してくれる
- 食材を柔らかくしてくれる
- 味の染み込みが早くなり調理時間を短縮してくれる
- 料理を傷みにくくする
さきほどのみりんとは異なり、料理酒には「食材を柔らかくしてホロホロにしてくれる効果」があるんです。料理酒は煮物だけでなく揚げる時や焼くときにも使える万能調味料なので、どんどん使っていきましょう。
料理酒の効果をうまく引き出す使い方
料理酒の役割をみると色々な料理で使えることがわかりますね。
魚や肉の臭みをとって柔らかくしてくれるので下味処理の時に使えるし、短時間で味を染み込ませたい時にも効果を発揮してくれます。
レストランでステーキ肉を焼くときにワインをかけて火をつけますよね。「フランベ」と言われる調理法ですが、あれもこの料理酒の働きと同じ効果があるんですよ。肉の臭みをとって本来の味を引き出していたんですね。
また料理酒には塩分が含まれているので、塩を加える時には辛くならないように注意しましょう。料理に合わせて清酒に代えたりワインに代えたりすると、料理の美味しさが一層引き立ちますよ。
料理酒が無いときの代用法
料理酒を切らしている時に代用できるものはたくさんあります。主な成分がアルコールなので「酒類」を使えばよいですが、料理の味を損なわないようにうまく使い分けましょう。
日本酒
最初から料理酒ではなく日本酒を使って料理する人もいますよね。アルコールの臭いが気になるときはお鍋でサッと加熱してしまえば臭いが消えます。料理酒と同じ分量で使えて、効果も同じなので手軽ですね。
みりん
みりんで代用する際には、料理酒と同じ効果を出すために必ずアルコールがしっかり入った「本みりん」を使いましょう。みりんを使う時は、糖分に気を付けて砂糖の量を調節してくださいね。
ワイン
酸味があるので和食には不向きですが、ハンバーグやステーキなどの洋食を作るときには代用できます。クセのないワインを代用することで料理酒と同じ効果を引き出すことが出来ます。代用する時は、赤ワインではなく白ワインにすると風味を損なわずに美味しく調理できます。
ビール
肉料理で使うとジューシーで柔らかくなるのでオススメです。からあげを作るときは、料理酒ではなくあえてビールを使う裏技もあるほど。独特の苦みも加熱することでなくなるので気になりませんよ。
美味しい料理のためにみりんと料理酒を!
いかがでしたか?みりんと料理酒はどちらもアルコールの入った調味料で同じ役割をしていると思いがちですが、両方使うからこそ料理が美味しくなることがわかりましたね。
まとめるとこうなります。
- 原料は米とこうじ、醸造酒と糖分
- 煮崩れしにくくする
- 最後に入れると照りがでる
■料理酒
- 原料は米とこうじ(食塩と旨味が加えられているものもある)
- 素材を柔らかくする
- 味の染み込みを早くする
どちらも料理には欠かせない調味料です。これらの役割をうまく活用しておいしい料理をたくさん作ってくださいね。
コメント